「暗黒館の殺人」

暗黒館の殺人(一) (講談社文庫)

暗黒館の殺人(一) (講談社文庫)

綾辻行人の「暗黒館の殺人」が単行本になっていたので読みました。単行本で4巻まであります。新書でも上下巻だったかな。館シリーズ、最長編!


そして、長いってだけでなく、館シリーズの今までの要素を凝縮させた、いろいろな意味での集大成とも言えると思います。詳しいこと言うとネタバレになっちゃうけどね。
「十角館」からずっと読んできたファンにとっては凄く感慨深く読めるんじゃないかと。


私は前々から、綾辻の魅力=ミステリとしてのパズル+幻想的な魅力だと思っていたんだけど、この話は幻想的な魅力の部分が前面に出ています。読者は、その幻想的な雰囲気にのまれてしまいそうになるけど、実はその裏でしっかりミステリとしての謎解き部分は進行していているのです。館シリーズ叙述トリックだって分かってるのに、またまんまとだまされました!
でもいいの。だまされたいんだもん。この「あーそうだったのか!」というカタルシスが快感です。


綾辻本人も「自分好みの傑作になった」ということを文庫版あとがきに書いてあるけど、ちょっとゴシックホラーの雰囲気がして、いかにも綾辻らしい幻想的な話です。
しかも、ラストがねぇ・・・。思わせぶりで終わるというところが憎らしい・・・。水車館のラストほどの衝撃はないけど、気になる終わり方です。
結局、惑いの檻にいる(?)ものは何なんだろう・・・。ああ、気になる(@@;


光より闇を愛する世界、一度行ってみたくなりました。最初は怖いなぁと思ってたけど、私も「憑かれた」のかもしれません。