絡新婦の理

絡新婦の理 (講談社ノベルス)


シリーズ第5作。あまりの分厚さに本が割れました(笑)

いきなり何なんですが、私、この作品、「宴」の次に苦手です・・・。まあ、「宴」に文句(?)がある人は多いと思うんだけど、「絡新婦」は結構人気あるんで、言い難いんですが・・・(苦笑)

何が苦手って、犯人の意図というか動機がいまいち分からない・・・私が頭悪いのかなぁとも思いますが。そもそも「動機なんてどうでもいいことなんだ」って京極堂も言ってることだしね、気にしなきゃいいんだろうけど。

はっきり言って、構造は凄いと思う。蜘蛛の巣みたいに緻密な縦軸と横軸。一見関係ない事件が積み上がり、犯人をうながす。しかし、一人の犯人を捕まえたところで事件は新しい様相を呈す。凄いよね。・・・でも・・・複雑すぎるんだよぉ!!!(ホント馬鹿)綾辻の感想でも書いたんだけど、私は本来「一言ですべての謎が解ける」みたいなタイプのトリックが好きなのです。登場人物を整理しなきゃ付いていけないような、この「絡新婦」タイプのミステリは複雑すぎます、私のオバカな頭には。

女系家族の考察、夜這いの文化についての考察(ってほどのものでもなかったけど)はなかなか面白かったです。売春婦の職業意識がどうのこうの(ホント頭悪い書き方だなぁー)っていうのも面白いし。ひとつひとつの話題はいい感じなのにまとまりが無いというか、強引に全てをまとめようとして返って全体像がぼやけてるというか。

始まりと終わりの桜と墓の風景は美しいと思います。

あ、この作品はじめて読んだ時、関君がなかなか出てこなくて異常に寂しく思った覚えが(笑)もしかして、関君の出番が少ないから苦手なんだろうか、私。









<名言集>

「だからさ、あの人に自分が悪いって謝られちゃ、他の人はどうなる訳?大抵あの人より悪いんだから、そりゃ凄い悪いってことになるじゃない。あんな謙虚な控えめな善く出来た嫁がペコペコペコペコしちゃって、そしたら不出来な人間はどうすればいいのよ。死ねってこと?(中略)悪気はなくッても謙虚さが他人傷つけることだってあンの。あの卑屈さは却って自尊心傷つけるわよう」奈美木セツ

長〜い引用スイマセン。結局せっちゃんの眼力が一番鋭かったんだな、と思って感心。私も「あの人」苦手なので、ここまで言ってくれてスッキリ。