鉄鼠の檻

鉄鼠の檻 (講談社ノベルス)
シリーズ第4作。

このシリーズの中でも、ひときわぶ厚い・・・。読み応えまんてんの一作です。

中身としては、狂骨のあたりから出てきた宗教ミステリ色が一層濃くなり、受け付けない人には読みきるのがかなりが辛いだろうと思われます。かくいう私も、ちょっと辛かったんですが(苦笑)

それでも、それなりに最後まで勢いよく読み通せたのは、あの雰囲気が好きなんだと思います。冬の朝の冷たい空気とか、雪山の清廉な空気の中を歩いた時の肌に刺さるような厳しさとか。そのすがすがしい感じがいいんですよね。ちょうど、「姑獲鳥」で夏のじっとり感がよく出てるなぁーと思ったのと同じです。

トリックとしては、特にピンとくるものは無いっていうか・・・あ、頓悟した人から殺されてるんだなっていうのは途中で分かっちゃうし。禅の問答に見立てられてるっていうのは逆になかなか気づけないので、答えが出ても「はぁ」って感じだし。「なんとな〜く気づいてるんだけど、それが何か分からなくて、最後に分かってカタルシス!」というタイプのトリックが好きなので。我侭でスイマセン。

好きな場面は、いろいろあるんだけど、関君が飯窪さんの憑き物を落とす場面があるんだよね。珍しくかっこよくて好きです。それから、京極堂が常信和尚の憑き物を落とす場面もなかなかイイ。何か、この二人の憑き物落しを読んで、「憑き物を落とす」っていう行為の意味がちょっと分かりかけた気がします。気のせいかもしれないけど(笑)

新キャラ、マチコサンがなかなか鋭くてイイですね。それから、この「鉄鼠」あたりから、京極堂と榎さんのコンビネーションがどんどん良くなってきます。











<名言集>

「肉体労働はしないと十四の頃に決めたんだ」中善寺秋彦

どんな中学生だったんだろう・・・。