狂骨の夢

狂骨の夢 (講談社ノベルス)
シリーズ第3作です。

この作品の根本的なトリック、朱美さんが二人いるってことは実は私、読んですぐ分かっちゃったんです。だって、伊佐間が会った朱美さんと、教会に相談に来た朱美さん、全然話し方違うじゃないですか。だから、最初読んだ時は、あまり驚けなくて、フーンって感じだったんですけど。でも、文庫版を読んで、納得のいく場面があったので、今では結構好きな作品の一つです。

狂骨で、一番好きな場面は、実は久保のお葬式(苦笑)。あらすじと殆ど関係ないっての。すいません。でも、京極堂の説教が良くてしみじみしちゃいました。あと、神道と仏教についてちょっと分かった気がします。でも、久保が神様かー、感じ悪い神様だなぁ(笑)

ちなみに、文庫版は400ページ加筆という代物なのですが(笑)。どこがノベルスよりも納得したかというと、降旗の夢が実は深層心理なんかじゃなく、見たままだったっていうところ。ノベルスではあっさりした説明なんですが、ここ、かなり加筆されてます。私はノベルスを読んだ時、「いくら何でも見たまんまの夢ってそんなに見るかなー」って疑問だったんで、詳しく説明されてる文庫版を読んでスッキリしました。ここに引っ掛かりを覚えなかった人も、文庫版はオススメです。ノベルスとの違いを探すのも楽しいもんですよ(暇人・・・)

狂骨は、正直言って、始まりと終わりの構成はそれほど奇麗に感じません。どうも、私は始まりと終わりの文章に何かつながりがある方が好きみたいです。作為的ですけど。










<名言集>

「世界中の不幸と苦悩を纏めて背負ったような顔をして、そんなもの誰だって背負ってるぞ!ちっとも偉くない。心の暗闇だか何だか知らないが、心に光度や照度があるか。明るい暗いで善し悪しが決まるのは電灯くらいだ」榎木津礼二郎

いいですねー、数ある榎さん名言集の中でも一番好きかも。