魍魎の匣

魍魎の匣 (講談社ノベルス)
シリーズ第2作。
日本推理作家協会賞受賞作です。演劇を観に行ったりして、もともと好きな作品だったんですが、とても印象深いものになりました。

すべての文章が伏線という感じで、すべてのエピソードがラストに向かっていく様が凄い!真剣に感心した覚えがあります。特に、福本が車を最初の方でトラックに当てちゃって・・・という伏線が、京極堂の憑き物落しの時にぽろっと出てくるのです。そこ読んでて、何故かぞくぞくっときました。「私、今、凄いミステリ読んでるっ」みたいな実感が突然湧いたらしい(笑)あと、関君の小説を頼子が読んでいるという指摘の部分。はじめの方に、単行本を出す関係で関君の小説のタイトルを(読者は)沢山読んでいて、あれ?どこかで聞いたようなーって思ったら頼子ちゃんかーっていうカタルシスが心地良いです。

あと、この京極堂のシリーズの大きな特徴が「魅力的な登場人物」にあると思うんです。姑獲鳥の頃は、そうでもないけど、魍魎あたりから徐々に面白くなってきます。榎さんの突拍子なさ、木場修の無骨さ、敦子嬢のキリリとした感じ、鳥口くんの要領の良さ・・・。探偵役だけが魅力的になりがちなミステリにおいて、「この登場人物たちを読みたくて」って思わせる。そこが漫画的という批判もあるみたいなんだけど、私は好きです。特に、脇役にもファンがつくのが京極らしいのだけど(笑)、魍魎の久保はちょっと忘れられませんね。私も、結構みつしり好きなので「匣の中の娘」に共感してしまったり(笑)

それから魍魎も、始まりと終わりが上手いです、相変わらず。「匣の中の娘」は、恐ろしく堂々としたネタバレなんだけど、それを冒頭にもってきて驚かせ、ラストに締める!という構成が良かったです。








<名言集>

「楠本君。せいぜい月の光を浴びるがいいよ」柚木加菜子

カリスマ女子中学生、加菜子ちゃん。