OUT
- 作者: 桐野夏生
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1997/07
- メディア: 単行本
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桐野夏生の「OUT」を読みました。
文庫版で上下巻だったけど、結構あっという間だったなー。一度読み始めると止まらない感じ。
内容としては、普通の(?どっちかというと、普通よりも不幸な)主婦たちがバラバラ殺人事件に関わっていくというもの。バラバラ殺人事件に巻き込まれるんじゃなくて、自ら関わっていくというところがポイントで、引き返そうと思えばいつでも引き返せるはずなのに、積極的に2度目の犯罪に手を染めてしまうっていう・・・。あ、引き返そうと思っても、なかなか引き返せないかな?
少なくとも、一度目の犯罪に関しては、みんなが引き返せる位置にいたんだけどね。一度関わったからには、ずぶずぶと泥沼にはまっていく。
読者としては、主人公の主婦たちの視線にたつので、犯罪がばれないか、ばれたらどうしよう、この先どう動いていくべきか・・・とハラハラしっぱなし!
意外と警察はちょろいんですが・・・。
京極夏彦の小説に、「ばらばらにする心理って言うのはどういうものなのか」を京極堂が語るシーンがあるんだけど、それを思い出しました。
京極堂は、バラバラにする=日常を取り戻す行為だというんだよね。憎くて憎くて・・・とか、常軌を逸した行動で・・・とかじゃなくて。まあ、ある意味狂気と言えなくもないけど、バラしてるときは冷静のはずだと。「この筋が切りにくいな。」とか「包丁が滑って困るな。」とか考えてるはずで、その思考と行動によって、殺人をなかったことにする行いだと。
この「OUT」を読むとすごく頷けるんだけど・・・京極氏も読んだのかな?どっちが先なのかな。
ラストで、主婦と犯罪者が互いを理解し、結びつく(愛情といっても良いかもしれない)ところがあるんだけど、そこはちょっと私には理解不能でした・・・。