前巷説百物語

前巷説百物語 (怪BOOKS)

前巷説百物語 (怪BOOKS)

京極夏彦の巷説シリーズの一番新しい本、かな。
巷説シリーズの中で、物語中の歴史は一番古い。又市が、御行をする前のエピソードです。


巷説シリーズは、一応一通り読んでるんだけど、自分で持ってないのとかもあって(借りて読んだ)読み返せないし、持っていてもなかなか再読しないので、かなり忘れちゃってます・・・。
でも、この「前巷説」は、絶対今までの話を知っていた方が楽しめるはずです。その後のシリーズの中心人物の生い立ちとか分かるしね。
稲荷坂の祇右衛門っていう黒幕も、シリーズのどっかで出てくるのかな?忘れちゃったけど(^^;
ちなみに、「京橋の蝋燭問屋の三代目の若旦那」というだけで名前も出てこないけど、あれって百介だよね?


巷説シリーズは、ちょっと暗い、人間の業の悲しさと言うか、ちょっと切ない話とかが多くて好きなんだけど、この「前巷説」に関して言うと、悲しさと言うよりも怖さかな。。。人が狂信的に行動する怖さを感じました。


結局、騙されてとか、脅されて、人の言いなりになるよりも、自ら進んで信じ込む=宗教より怖いものはないなぁ・・・と。

物語の終盤で、浪人山崎が殺されちゃうところは、いかんともしがたい、悲しい気持ちで読みました。


「復讐は何も生まない」というのも心に残りました。「人が死ぬのは損」っていうのもね。又さんの原点を見て、改めて、また巷説シリーズを読み返したくなったよ。