「異国の丘」

異国の丘

劇団四季の「異国の丘」を観ました。
前に観た「李香蘭」と並ぶ「昭和の歴史三部作」の一つです。12月に、「南十字星」も観ます。


ちょうど司馬遼太郎の「坂の上の雲」を読んでたところだったんだけど、日露戦争の頃の軍隊とその後の昭和の軍隊では体質が変わってしまったということが何度も書かれているのね。日露戦争の頃は、日本にとって不利な戦いは極力避けようとしてたし、新聞などの世論に煽られても軍は比較的冷静だったみたいなんだけど、「異国の丘」を観ると、やっぱり変わっちゃったんだなぁと思う。
変わらなければ、死ななくていい人たちが沢山いたのだろうに・・・。単純に戦争反対!ではなく、勝ち目の無い泥沼に突き進んだ指導者たちが腹立たしくなりました。


お話自体に救いがなく、主人公も最後は亡くなりますし、ちょっと切ないかなぁ・・・。


李香蘭」で、「日本人は皆殺せ!」って言っている中国人が出てきて、でも最後には「徳を以って」ということで、李香蘭は処刑されないで済んで、大団円だから「いいお話だったなぁ」なんて思えるんだけど。

「異国の丘」にも、同じような中国人でてくるんだけど、なんか結局そういう人たちとは分かり合えないのかなぁっていう結末なんですよ。それが残念。でも、「李香蘭」の方が奇麗事とも言えるけど。


ミュージカルとしては、まあまあかな。シベリアに抑留された人たちの悲しみを歌った歌がとても良かった。シベリア抑留についてはよく知らなかったけど、もっと日本は怒ってもいいよね、国際法上、捕虜の扱いが酷すぎたんだな、って思った。


やっぱり「坂の上の雲」で昔の日本軍は国際法を守ることに必死で、捕虜の待遇もしっかりしていたと書かれていたので、そういうことも気になりました。


でも、ソ連に対する怒り、というより、そういう目に合うまでつっぱっしっちゃった日本軍のあり方の方に憤りを覚える、という感じでしたが。


戦争の悲しみ、というものに触れた3時間でした(ちょっと泣けた)。この悲しみを私たちの世代は忘れちゃいけないな、特に私は、末端の教育者としてきちんと伝えていきたいなと思いました。