李香蘭

李香蘭

劇団四季の「李香蘭」を観ました。ウィークデーマチネだったけど、さすが夏休み?満席でした。


そもそも、李香蘭についての知識がほとんど無かった私は、逆に先入観なしに見られたかなと思っています。日中関係の歴史について、ちょっと説明くさいところもあるけど、歴史に興味があって、基本的な知識を埋めるにはいいんじゃないかな。時系列とか分かりやすいし。中高生とか、日本史の勉強に観るのもおすすめだと思います。


中身は、日本人でありながら、その美貌と流暢な中国語、卓抜した歌声で「中国人歌手」としてデビューした李香蘭がたどった運命・・・。
日本が勝手に作っちゃった満州国の宣伝映画に多数出演し、戦後その責任の是非を問う裁判にかけられました。


まず、ミュージカルなので、歌が素敵。踊りとかはたいしたこと無いけどね。その中で印象に残った歌が
♪中国と日本  日本と中国  二つの国を愛してほしい  私たちは兄弟  黒い髪  黒い瞳
という歌詞で。すごく穏やかな希望に満ちたメロディーで聞いてて心地よいです。まあ内容は理想主義過ぎるかな〜とは思いますが。
はじめ、この歌は李香蘭が中国人と養子縁組をするところで歌われ、そのときはまさに「私たちは家族になったのね」って感じで和やかに歌われます。
次に、満州国ができるあたりで歌われ、日本人のエゴが見え始める。
最後に、李香蘭が「徳を以って怨みに報いよう」という中国人の意思により(この歌も凄くいい)無罪になり、この歌で大団円。

そんなにうまくはいかないよって鼻白む人もいる歌詞だと思うけど、ストーリーを追っていくと
「ほんと、そうなればいいのにな」
って思う。

この芝居では、日本が、アジアの雄たらんとして中国を支配下におこうとしたとき、中国人は「日本の目を覚まさせる」という気持ちで反抗した、日本人を(李香蘭を)憎みたくて抵抗したわけじゃないんだ。と、こういうスタンスで描かれています。コレにたいして、反論はあると思う。世界各国が帝国主義に流れていた中で、日本だけがそれに参加しちゃいけないという理屈はないし。
でも、でも、同じアジアの民族同士で食う者と食われる者がいた、というのは納得されにくいんだろうな。


いま、中国では日本を許さないという考えの若者が多いそうですが、この芝居を観ると、上海の裁判所で下した中国人の「戦争を憎んで人を憎まず」という考え方は、かの国にどう伝わっているのか? 四季は、中国公演もしてるけどそのへんどうなの?と思えてなりません。