陰摩羅鬼の瑕

陰摩羅鬼の瑕(おんもらきのきず) (講談社ノベルス)
シリーズ第11作。
10作目の「今昔続百鬼−雲」という作品が、↓「雨」との間にあるんですけど、感想をまだ書いてません。スイマセン。

ともかく、待ちに待った新作です!

んがしかし。待ち過ぎて、期待が高まり過ぎたか、どうもがっかり感がぬぐえない。

何ががっかりだったかというと、やっぱりミステリである以上、犯人が早々にばれているのは魅力半減でしたね。あと、どうして殺してしまうのかも大体分かっちゃう。大体、京極堂が解く前に関君が真相に到達してるんだから!(笑)

まあ、京極先生自身はミステリを書いてるつもりはないのかもしれないけど、それにしたって多少は読んでて驚きが無いと面白くないと思うのです。今回、何に驚けばいいのか分からない。それが残念・・・。

伯爵の世界観は好き。死=存在しなくなること、とか、剥製を生きてると思ってること、とか、どう考えても普通じゃないのに信じ込んでるわけで、想像するとぞっとする。でもまともすぎるんだよねこの人。どうせなら「薫子は生きている!」とか言って腐るまで死体に縋り付いて、彼岸に・・・。とか、そこまでやってくれないと(酷いな私)。「誤謬があるのですね」とか言ってあっさり捕まっちゃうのはいまいちすっきりしすぎていてつまらない。

それから、このシリーズには毎回タイトルの妖怪について京極堂の蘊蓄があるわけだけど、今回陰摩羅鬼の説明、少なかったかなーという気がします。関君が欝状態になってその妖怪に憑かれちゃったりすると読者側も一緒にぐるぐるするわけで、その辺も足りない感じ。全体的にあっさりすっきりしすぎてるなーと思うのです。

木場修の出てくるシーンは好き。今回、関君が謎を解くのかというくらい頑張ってたのもイイ。作中作も良かったし、関君見直したよ!(笑)






<名言集>

「間違え序でに、時間も間違えてしまったのだ。扉の中は――四年前の情景だったのだろうよ」由良胤篤

結構悪い人じゃなかった大叔父。扉を開けたら四年前だったなんて、詩的センスもあると思うんですけどどうでしょう?